群馬県教委1月会議を傍聴して

・今回の事務報告では、最初に教育長より学校のコロナ対応の件と県議会・委員会での質問内容の件が報告されました。

・今回のコロナ対応に関して、ある委員から「授業の同時配信など難儀なことをできたことは素晴らしいが、子どもが学びの主役と考えるならば、それ以上のものを追求すべき」「子どもたちからのフィードバックを受けることも重要。例えば生徒会がこの一ヶ月半の学びの状況を学校側にフィードバックするしくみを持つことは、これから学校がより良くなってゆく材料となる」との指摘がありました。この指摘のとおり、オンライン授業実現のためには環境整備が重要で、今回そのために費やされた教員の努力は評価に値するものです。

 しかしその結果、本来授業そのものに注がれるはずの教員のエネルギーが他に振り向けられ、学習に向かう子どもたちの姿が教育の現場で霞んでしまっていることが危惧されます。分散登校という異常事態を、オンライン授業により「乗り切った」と考えるのは、いささか早計に過ぎます。そして、生徒たちの学校生活にはまだまだ表面化していない問題のあることを想定した上で、職務に当たり会議に臨むことを群馬県教育委員会には求めます。

・各課からの事務報告は5件。そのうちの1件、学校人事課から「教員選考試験の合格者状況」が報告されました。ある委員から、全体の倍率が4倍を超えているものの他県の状況に鑑みて「教員として働くことの魅力」発信の工夫を促す意見がありました。担当課では「(魅力発信のための)プロモーションビデオのようなもの」を考えているとのことですが、文科省「#教師のバトン」プロジェクトに寄せられた現職の声にあるとおり、多忙を極める教員の長時間労働解消こそが、教育行政を担う県教委として最も力を注ぐべきことではないでしょうか。

・第1回の進路希望調査において、学科別の倍率で14年ぶりに普通科が一番高かったとのことです。夏休み中の体験入学が中止や延期になったためと担当課では分析していますが、果たしてそうでしょうか。また、県内の高校進学希望者は昨年より138人増えましたが、県内の公立高校希望者は63人減りました。私立高校希望者の増加によるものとのことですが、過去最低を記録した全体の倍率(1.08)とあわせて、これからの「高校教育改革」のために、さらに詳細な分析と検証を県教委は行う必要があると思います。参考資料として「学校別倍率上位5校」や「大学科ごとの学科別倍率上位5位」などを発表している暇はないはずです。そもそも、この種のランキング発表にどのような意義があるのか大いに疑問があり、「法的措置を取る」などと過敏に反応なさる方もいらっしゃるようです。

・今回の審議案件は2件。そのうち公開議案は1件でした。(非公開議案は「令和3年度市町村教育行政功労者表彰について」です。非公開の理由は「人事案件だから」とのこと。)

・県教委のホームページでは、定例会議の会議録の掲載が4月で止まったままです(10月末現在)。記憶を頼りに毎回この「ちょこっとコメント」を書いている私には、録音したデータで会議録を作っているはずの県教委事務局の仕事ぶりにどうしても不審の念を持ってしまいます。そもそも、行った会議の内容を速やかに知らせるつもりがあるのか疑わしい限りです。これは、情報公開の観点からも大いに問題がある事態ではないでしょうか。

(以上)