群馬県教委月会議を傍聴して

・6月24日の県総合教育会議(於:吉岡町立明治小学校)の件、7月4日の学校訪問(於:黒保根学園・桐生高校)の件、7月11日の全国都道府県教育委員会連合会総会(オンライン)の件が、参加した教育長及び各委員から報告されました。

・各所属長からの事務報告として、「学校経営アドバイザーモデル事業(学校人事課)」「更新制廃止後の教員免許状の取扱い(学校人事課)」「利根・沼田地区新高校の概要(高校教育課)」「旧妙義青少年自然の家の売却に係る公募型プロポーザルの実施(生涯学習課)」「第57回県中学校総合体育大会(健康体育課)」についての報告がありました。

・上記の内、7月24日上毛新聞記事でも取り上げられた「学校経営アドバイザーモデル事業」については、早速その場で一部委員より「すばらしい事業」との感想がありました。多様化・複雑化する学校諸課題に対応するため、校長経験者(既退職者)を学校アドバイザーとして配置するとのことですが、その業務として、学校経営の支援と共に、児童生徒への具体的支援の推進、生徒指導上の相談や助言、保護者からの相談受付、悩みを抱える教職員への支援、若手教員のスキルアップ等の支援、臨時教員・非常勤講師への支援、教職員の勤務状況把握と意識改革への指導、多忙化解消に向けた業務改善の支援が挙げられています。ここに挙げられた業務の内一項目でもその成果が実を結べばこの事業の意義もあると思いますが、今年8月下旬~来年度末までの半年間の短時間勤務(一週間あたり19時間22分20秒)の配置では、あまりに短兵急でその効果を検証することさえ覚束ないでしょう。そもそも、これらの業務を行うはずの校長がそれを充分になし得ていない状況がある中で、校長経験者たる「学校経営アドバイザー」が加わることで状況改善を図ろう、と考えるのはあまりに楽観的です。「現状では、再任用の教員は教壇に立つ例がほとんどで、教壇から離れる期間が長い校長経験者は、再任用に応募する例が少ない」との上毛新聞記事の指摘が、この事業の背景に何があるかを暗示しているようです。県下の小中学校4校に各1名を配置する本事業費(今年度はモデル事業)は、約470万円とのことです。

・現在県内各地で実施中の「いじめ防止フォーラム」に関連して、ある委員から「いじめ」について「過激だが」との前置きと共に「(いじめに対して子どもは)耐える気持ちを持つべき。親を頼ってはいけない・・・」などとの発言がありました。

 会議は議論の場であり腹蔵なく持論を展開することに躊躇はいりません。しかし、「いじめ」を原因とした児童生徒の自死が発生する昨今の情勢下で、このような「いじめ被害者」に寄り添わない発言や、かつて同委員から発せられた「いじめられる側にも問題がある」などという発言は、メディアでもすっかり影を潜めた「一昔前の放言」であり、教師やスクールカウンセラーによる応談の場では絶対にしてはならない非常識な発言です。この発言に他の会議参加者からの反応はありませんでしたが、「いじめ」発生の原因の一つに、集団の中で優位に立つ一部の人の発言や行動に集団全体が左右されてしまい、抑制が効かずまともな判断や行動ができなくなることが指摘されています。このことは、県内各地の小中高生による「いじめ防止フォーラム」でも取り上げられることの多い重要なテーマです。本教育委員会会議においても、広範な教育諸課題に対する公平で客観的な知見に基づいた真摯な議論が活発になされることを切望します。

・今回の審議議案は3件。そのうち公開議案は1件。唯一の公開議案である第15号議案「臨時代理の承認について(損害賠償請求の処理に係る事務の補助執行の協議について)(総務課)」については、具体的な「損害賠償請求」の内容が示されないため、参考法文と人員などの説明だけでは皆目見当もつきません。この状態で審議が行われ質疑もないまま終了しました。どのような事情があるのか文字通り不明ですが、これで「審議」の意味があるのでしょうか。

・(非公開議案は、「群馬県公文書開示請求への諮問について(福利課)」と「教職員の人事について(学校人事課)」の2件でした)