群馬県教委12月会議を傍聴して
・高校教育課より来春中学卒業見込者の第2回進路希望調査結果が報告されました。県内の全日制公立高校に関して、前年度比で入学希望者が260人減少(募集定員は172人減)し、定員に対する入学希望者の倍率は前年度と同じ1.01倍(第1回調査1.05倍)でした。
10月会議ではこの件に関していくつかの質疑があり、歯止めのかからぬ希望者減少に教育長から「子どもたちにとって魅力ある高校に変えていかなくてはならない」との発言もありましたが、今回の会議では質疑はまったくなく、県内公立高校の存続を問うようなこの根源的な問題意識の共有すらなされていないことを、私たちは深く憂慮します。10月の「ちょこっとコメント」での「第2回では1倍を切るのでは」との予測は外れましたが、このままでは近々に1倍を切るのは必至です。現に、前回の後期選抜での定員に対する志願者数の倍率は0.99倍でした。また、この話題がネット上のニュースサイトに掲載されると、たちまち「定員に満たない学校は廃校にすれば」「統廃合しかない」などの無責任なコメントが飛び交う有様でした。10月会議の質疑のやりとりで明らかになったのは、調査項目の不備や連携不足のため、せっかくの調査がまともな分析もままならず、「人気校ランキング」程度の結果しかもたらしていないことです。これでは、中学での進路指導に供するどころか、山間部・都市部や人気・不人気校の格差拡大に拍車をかけているだけです。
気がかりなのは、ここ5年で「その他の希望者」の割合が全体の構成比で2.25%(2017年10月)から4.68%(2022年12月)と倍以上に増えていることです。群馬県の調査で「その他の希望者」とは、「高校進学等進学希望者」以外を指すとのことですが、不思議なことに広域通信制高校を希望する生徒はこの「その他の希望者」に分類されるようです。ちなみに、隣接他県の進路希望調査では「通信制高校」の項目で進学希望者として分類し、さらには詳細な分析も含めた大部の調査報告書を逐一ネット上で公開していることを考え合わせると、各校の希望者数と倍率だけを発表する群馬県の調査がいかにお粗末なものであるかよくわかります。いずれも永年のルーティンワークによるものでしょうが、現状に対する問題意識の有無が如実に反映しています。
改めて、私たちぐんま教育文化フォーラムの「全県一学区制の見直し・学区制の再構築」を軸とした入試制度改革提言に基づき、全県的な視野に立った「教育の機会均等」実現のため県教委が真摯に取り組むことを切望します。
・知事部局所管の「湯けむりフォーラム」なるイベントが話題に出ました。この「湯けむりフォーラム」とは、「2020年より群馬県が開催しているローカルカンファレンスイベントです。アイデアやイノベーションのキッカケとなる刺激的な動画コンテンツや、学びにつながるレポート記事など、有用なコンテンツを幅広く発信しています。(群馬県HP戦略企画課による)」とのことですが、教育イノベーション分科会を含む「リアルカンファレンスイベント」が12月に山本知事の地元草津で行われたとのことです。完全招待制による300名の招待客が参加したらしいこの賑々しいイベントも、県民の税金から賄われていることを考えると、それに見合った具体的効果と県民への還元に関するしっかりした検証が早急に行われるべきだと考えます。
・今回の審議議案は、主に教職員の定年引き上げと人事委員会勧告の実施に伴う規則の改正に関わる議案(第46~55号議案)と教職員表彰(第56号議案)・教職員の人事(第57~60号議案)の15件で、第56~60号議案は非公開議案でした。
(以上)
2023.1.7