・公立高校入学者選抜について
今年2~3月に行われた「令和8年度公立高等学校入学者選抜」について、その結果が担当課長から報告されました。
例年の通り、募集定員・志願者数・受検者数・合格者数に関して、全日制課程及びフレックススク-ルに限っての報告でした。これまでも定時制課程や通信制課程についての報告がないのは不思議でしたが、中学卒業者の大半が県内の公立高校全日制課程に進むという「実態」にあわせたものと推測します。
ともあれ、その報告では募集定員11,153人に対して合格者数は10,160人とのことで、合格者は定員の約91%となります。この定員に対する合格者の割合を示す充足率は、前年度の94%から3ポイントも減少しており、その原因を早急に探る必要がありそうです。ちなみに、県教委が公表している資料からわかる充足率は98%(2014年度)、96%(2021年度)、95%(2022年度)、94%(2023年度)とこれまでに徐々に低下しています。
さらに、例年の進路希望調査の中学卒業見込者数に対して、各年度の全日制課程合格者数の占める割合を調べてみると68%(2014年度)、66%(2021年度)、65%(2022年度)とこれも低下の一途をたどり、ついに今春は63%を切りました。つまり、中学を卒業後3人に1人以上が公立全日制以外の選択をしているのが現在の群馬県高校入試の「実態」ということです。
高校の統廃合やクラス減を行って募集定員を縮小してきたこれまでの県教委による「高校教育改革」ですが、それを上回る勢いで県内の公立高校全日制課程離れが進んでいることが上記のデータからも明らかです。募集定員に満たない入学生で新年度を迎える高校が県下の半数以上を占める今の情勢に対して、県教委は「少子化の影響」や「授業料の無償化」などをあげて説明しますが、果たして本当の理由はそれだけでしょうか。これまで大半の生徒が公立高校全日制課程に進むことを当然と考え漫然と前例踏襲するだけだった県教委は、実際の入試の「実態」が大きく変容していることをこの際しっかり自覚すべきでしょう。
全国に目を移すと、各地で多様なカリキュラムを取り入れた学科の新設や中高一貫校への移行、様々な入試制度導入など高校の魅力発信の話題に事欠きませんが、それは迫り来る少子化と統廃合の流れに何とか抗おうとする動きとも考えられます。
群馬県では、県立高校の在り方」について県内8地区毎にそれぞれ検討を進めることが、昨年秋に県知事から突然記者発表されました。それ以降、各地区で「情報交換会」が開かれ、さらに現在までに2地区で「検討会」が開かれたそうです。その場では、具体的な校名をあげて地区内の高校再編を提案した地元首長の発言があったことなどが新聞でも大きく取りあげられました。そして、「地区を代表する」参加者によって各地区にある高校の抜本的改編が喫緊の課題であるとの問題意識が共有され、今後「しかるべきメンバー」で構成されたワーキンググループでの論議が行われることになるようです。
しかし、県教委がしいた全県一学区制によって一部の高校に受検生が集中する一方で多くの高校が志望者減にあえいでいる現状の中で、この「県立高校の在り方検討」をめぐる件で県教委は高校再編案の検討を各地区に委ねているように見えます。全県的な視野で教育の機会均等を企図する唯一の執行機関であるはずの県教委が、これではこれまで重ねた失策のツケを各地区に押しつけるだけでなく、今後の責任も丸投げしている、と考えるほかありません。
これまでも私たちぐんま教育文化フォーラムでは、このままでは社会のインフラである各地の高校がなくなり過疎化が一層進んでしまう点を指摘して、小規模校や実業高校を存続させることで所得・地域格差による教育格差を是正することや、新たな学区制の再構築を進めることなどを具体的に提言してきました。
しかし、今回の県教委会議でもこの「県立高校の在り方検討」に関する質疑は皆無で、試験問題に関する総括も例年と一言一句変わらない当たり障りのない報告に終始していることに唖然としました。前回より8.5点も平均点の高かった国語の問題について、「指導要領及び教育ビジョンの趣旨に基づいた発問が中学校での指導の成果と結びついている結果」との自画自賛とも取れる非科学的で悠長な教育長の発言や、人名漢字の誤表記という初歩的ミスのあった国語問題、冒頭に記した報告において全日制合格者数に定時制追加募集の合格者数を含めるという杜撰な統計管理など、高校入試に関して学校現場に注意を喚起する立場にあるはずの県教委自身の弛緩しきった姿勢が露呈していることに、私たちは心底危機感を覚えます。
この公立高校入学者選抜の件以外では、各委員が出席した県立学校入学式について報告がありましたが、入学生の人数や各校の成り立ち、校長先生の式辞の紹介など、賛辞に彩られた各委員の報告に果たして何の意味があるのか疑問です。
(以上)
2026.4.28