◆地方教育費について:安上がりな群馬県の公教育
文科省による「地方教育費調査(2024年度)」の中間報告が9月末に公表されました。それによると、群馬県が公立学校の在校生一人当たりに支出する金額が、ほとんどの校種で全国平均額よりも低いことがわかりました。(下図A参照)
これは2016年度以降ずっと同様で、47都道府県の中でも低位が続きます。特に、小学校(一学級当たり)、中学校(一人当たりと一学級当たり)、高校(全日制・定時制・通信制)では、ほぼ毎年度全国平均額を下回っています。
設置する学校数や地勢上の特徴・人口の偏在など自治体毎に事情は異なり単純な比較は難しいとしても、公立学校の児童生徒一人ひとりに支出する金額の上で群馬県が全国でも低いレベルにあることは間違いありません。小中学校で独自の少人数学級に取り組む群馬県ですが、「未来への投資」として教育への支出額を、せめて全国平均並みに増やすことを私たちは求めます。
◆中3生の進路希望調査について:公立高離れ顕著
今回の会議で、中3生へ来春の進路希望先を聞いた第1回調査(10/1実施)の結果が報告され、フレックススクールを含む県内すべての全日制公立高校への入学希望者が募集定員総数を下回り、63校中39校(61.9%)の高校で定員未満だったことがわかりました。
県内の国公私立中学校(義務教育学校と特別支援学校中学部を含む)を来春卒業見込の生徒は15,800人で、前年度に比べ431人少なく、高校進学希望者数は15,544人(前年度比-507人)ですが、その内県内の全日制公立高校の希望者は10,625人(前年度比-606人)とのことです。さらに、フレックススクールを含む県内の全日制公立高校の募集定員10,877人に対し、今回の調査時の入学希望者の合計が10,732人のため、倍率は0.99倍です。これは前年度同期の1.02倍と比べ0.03ポイントの下落で、県教委資料に記載のある1993年度調査以降で初めて1.0を割り込んだ最も低い倍率です。
卒業見込者全体を100とする構成比でも、全日制公立高校希望者は前年度から1.94ポイント低い67.25%です。2018(平成30)年度にはこれが77.87%だったので、このわずか8年間に10.62ポイント、人数にして3,729人減少(卒業見込者は2,634人減)したことがわかります。
ここで、2018年度と現在の状況を比較すると、次の表(県教委資料より抜粋して作成)の通りです。(下図B参照)
人口減少などによる卒業見込者の減少以上に、全日制県内公立高希望者が大きく減り(-10.62)、全日制県内私立高校(+4.29)や県外国公私立高校(+2.26)の希望者が増えています。また、2022(令和4)年度以前には調査項目自体がなく「その他希望者数」に含めていた広域通信制高校の希望者が631人(3.99%)です。この顕著な「公立高離れ」の原因を究明する必要があります。
今回の県教委会議では、この件での質疑は一切ありませんでした。会議後の記者会見で、教育次長が「非常に深刻に受けとめている」と説明したことが会議翌日の新聞紙上にありました。さらに、私立高授業料無償化の影響や多様な学びの場の広がりを指摘し、昨年度から始まった県立高校の在り方検討や魅力化の取り組みについて「より加速感をもって進めて行く必要がある」とも語ったそうです。
各種イベントの紹介ばかりが続いた今回の県教委会議で、倍率低下に関する県教委の危機感が教育委員と全く共有されなかったことは本当に残念です。県教委が倍率低下を国の施策や個人の意識変化のせいにして「公立高離れ」の現状をわがこととして正視せず、全国平均を下回る公教育支出(前項参照)のまま魅力化向上を唱えるだけでは、さらなる「公立高離れ」・「人気の二極分化」が進むことは明白です。その結果、「学校統廃合」による不利益を被るのは群馬の子どもたちです。
昨年度山本知事から突然発表された県立高校の在り方検討ですが、検討が始まっているのは現時点で県内8地域中2地域のみです。当「ちょこっとコメント」では、これまでも県内公立高校に関する不分明な施策の問題点を指摘してきましたが、全ての公立高校が全県一通学区でありながら、その検討を地元首長など「地域のしかるべき立場」の人の判断に委ねるやり方には、大きな問題があると考えます。奇しくも、現在検討が始まった2地域内には募集定員に達しない男女別学校があることが共通します。今後の高校再編の動きが各所で取り沙汰される中、ある首長が地元の県立高校の統廃合に突然言及する事態が起こりました。地域住民のみならず将来にわたり県民全体に影響を及ぼす県立高校の存廃については、県教委が広く意見を募り慎重かつ公正・公平な判断をする必要があります。
(以上)
2026.10.31
下図A
下図B