・地方教育費調査結果について
政府統計調査の一つである地方教育費調査㊟の最新の集計結果が1月30日に公表されました。
この調査は、全国の各自治体が教育に支出した経費等を各教委提出の数値に基づき文科省で集計したもので、毎年度実施されています。今回公表されたのは2023会計年度のデータで、都道府県毎の教育支出額が一目瞭然です。
それによると、群馬県の在学者一人当たりの公的支出額は、小学校1,007,820円(31位)、中学校1,075,119円(37位)、特別支援学校7,545,541円(23位)、高校全日制1,117,178円(41位)、高校定時制1,740,483円(42位)、高校通信制282,050円(32位)でした。(()内は47都道府県中、支出額の多い順位)
様々な事情が背景にはあるのでしょうが、群馬県の学校教育に関する公的支出額はほとんどの校種で全国平均額を大きく下回っています。全国平均額との差は、小学校-24,176円、中学校-79,479円、特別支援学校+294,976円、高校(全日制)-147,443円、高校(定時制)-407,263円、高校(通信制)-35,652円です。(-は全国平均額を下回る金額)そして、この状況は、集計結果の詳細がウェブ上にある2016会計年度まで遡ってもずっと変わりません。
私たちは2024年10月及び11月の当「ちょこっとコメント」で、この状況が学校教育への支出を安上がりに済ましてきた群馬県の教育行政を象徴するものであるとして批判的に取りあげました。しかし、今回公表された直近データでは、全国平均額との差が以前よりさらに開いています。これによって、群馬県の教育行政があたかも低廉を旨とするかのような状況にあることが一層明らかとなりました。
一方、県内数カ所に設置した「tsukurun」やGメッセ群馬の「TUMOgunma」など所謂「デジタルクリエイティブ人材育成施設」に関しては、多額の税金を投入しているにもかかわらず認知度の低いことや将来的な効果が不明確な点が県議会でも取り沙汰されました。利用者が一部に限定される施設では、公的支出の公平性という点からも問題であり、改めて群馬県の教育行政の歪みを指摘せざるを得ません。
県の魅力度ランキングや移住希望地ランキングなど全国の自治体が競い合うような順位に関してことのほか関心の高い首長にとっては、地方教育費調査のような公的機関による客観的な調査結果はさらに関心が高いはずでしょうから、これを重大な行政課題として真摯に受けとめ、今後の群馬県の教育施策に活かすことを私たちは切に願っています。
㊟:地方教育費調査/令和6年度(令和5会計年度)都道府県別集計 教育分野別総教育費 参照
・N-E.X.T.ハイスクール構想について
1月26日の全国都道府県教育委員会連合会に参加した委員から、文科省担当者による「高校教育改革に関する基本方針」の説明があったことが報告されました。これは「N-E.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想」の副題で、2040年に向けてAIの実装・少子高齢化・生産年齢人口の減少・地方の過疎化が一層深刻化するとの時代認識を背景に、従来の高校教育からの脱却を骨子とした施策方針です。
そして、新しい高校の姿(及び育成する「人材」)を、
①専門高校の機能強化・高度化(アドバンスト・エッセンシャルワーカー)
②普通科改革を通じた高校の特色化・魅力化(文理の双方の素養を有する人材)
③地理的アクセス・多様な学びの確保(社会の課題を主体的に探究・解決できる人材)
の三つに分けて示しています。
しかし、予想以上の少子化が学校の存続を危うくする事態は既に到来しており、学校統廃合と過疎化の悪循環を招いている現状では、この構想には以下のような問題点を容易に読み取ることができます。
①現場の負担増
(教員不足と働き方の抜本改善が進んでいない)
②学校間格差の拡大
(社会のインフラ・公教育としての意義が失われる)
③探究万能論への疑問
(形だけの探究学習でも生徒・教員が疲弊している)
④財源が構想段階
(安定財源は「これから検討」ではあまりに不安定)
⑤国は構想を示すだけ
(具体的な実行計画の策定は地方に一任)
そして、この構想に私たちが最も違和感を覚えるのは、子どもたちのことを国を支える「人材」と見なす姿勢です。人として尊重されて生きることより、国のためにつくす「材料」となることが優先されてはならない、と私たちは考えます。
(以上)
2026.2.28