・今後の県立高校の在り方について(四)
9月以降毎月取り上げている「今後の県立高校の在り方」に関する話題を今回も続けます。
県教委12月定例会議で、来春中学校卒業見込者の第2回進路希望調査結果の報告がありました。会議翌日の新聞朝刊にも「群馬県公立高校の倍率、初の1倍割れ」などの見出しで新聞各社が記事を掲載するなど、高校入試については受験生やその家族に限らず多くの人々の関心事であることがうかがわれます。
10月の第1回調査に続く今回の調査結果を改めてここで詳述することは避けますが、県内の全日制公立高校及びフレックススクール63校の総募集定員11,153人に対して、各校への希望者の合計が10,792人だったため希望倍率は0.97となりました。1993年度以降の数値を載せた会議当日の配布資料を見ても、今回の0.97倍は最も低く、新聞の見出しのとおり「初の1倍割れ」です。
この結果について、「少子化・来年度からの国による高校授業料無償化方針が全国的に影響している」との説明が県教育長の記者会見であったことを新聞は報じています。しかし、希望者が定員を下回る学校が全63校中40校という今回の結果を「全国的な影響」によるものとするこの説明が、群馬県の現状と課題解決に正面から向き合うものでないことは明らかです。
前掲の配布資料によれば、来春の高校進学希望者は前年度と比べ380人減の16,026人であるのに対し、県内の全日制公立高校希望者は717人減の10,612人です。一方で、県内私立高校希望者は248人増、県外高校希望者は41人増、県内外広域通信制高校希望者は21人増です。この数値からも「県内公立高校離れ」の傾向はここ数年一層顕著になり、当「ちょこっとコメント」でもこの問題をたびたび取り上げてきました。そして、表向きには「各校の魅力向上や発信に努める」とのメッセージを繰り返しながら、その裏で学校間競争を煽って教育現場を締め上げてきたこれまでの県教委の姿勢に対して、私たちフォーラムでは警鐘を鳴らし具体的な対案を提起してきました。
高校の募集定員と希望者数から算出される倍率ですが、希望者が減るなら高校の定員を減らせば良い、という単純なものでないことは言うまでもありません。希望者の多い一部の高校を拡充し、希望者の少ない高校の学級減や統廃合などの高校再編策を機械的に進めれば、たちまち都市部に数校の高校が残るだけとなることは目に見えています。これでは県内のどこに住んでいても均質な教育を受けることは不可能となり、人口減少や過疎化に一層拍車がかかることは明白です。
今般、県・県教委は県内8地区毎に検討会を立ち上げ、そこで県立高校の今後の在り方検討を行う方針を掲げました。その方針について、9月以降の「ちょこっとコメント」では様々な角度から分析をしながら大きな怒りを持って批判してきました。その怒りの根幹は、すべての住民に質の高い教育を等しく提供すべき公教育を策定・施行する責務を県教委がこれまで充分に果たしてこなかったことにあり、さらにこの方針でその責務を放棄しようとしていることによるものです。
今回の県教委会議では、この件に関して配布資料にのっとった例年通りの説明が担当課長からあっただけで、委員から質問などの発言は一切ありませんでした。この様子からも、今後の県立高校の在り方に関する検討において、県教委がその責務を果たそうとしないことが推測されます。
・教育課題に対する教育委員会の対応について
今回の会議では上記以外に、県立文書館の展示案内や児童・生徒の減少による県内の園・校の廃止報告、小中学校の授業改善プロジェクトの報告、インクルーシブフェスタ2025の報告などがありましたが、委員からは質疑よりも各種イベントへの盛大な賛辞と謝辞ばかりが目立ちました。もちろん、通常の業務に加えて一過的なイベントの運営を担う人への評価も必要でしょうが、子どもに寄り添う日々の業務と山積する多様な教育課題に日夜奮闘する学校現場の多くの教職員が、果たして正当な評価を受けているのか甚だ疑問です。
増え続ける不登校児童・生徒や教員の休退職、史上最低倍率の教員採用試験などの現状に対して、既述した県立高校の在り方に関する検討方針がそうであるように、教育委員や教委事務局職員だけでなく教育委員会の組織そのものがもはや対応不能な状態に陥っているのではないか、と私たちは心底危惧しています。 (以上)
2025.12.26