・第1回県総合教育会議について
6月27日の「部活動の地域展開」をテーマに開催された第1回県総合教育会議の内容が報告されました。現在、文科省は今年度までの3年間を「改革推進期間」、来年度からの6年間を「改革実行期間」と位置づけて、部活動改革を進める方針を示しています。
しかし、山本知事の唱える「全国に先駆けた『群馬モデル』の創出」はともかく、部活動改革そのものが学校現場で実際に進捗しているのかどうかは、依然として疑問が残ります。一方で、部活動指導を任される教員の業務は、この間も増え続けています。
県教委定例会議では、委員から「部活動は地域振興に関わる問題」「部活動を含め、地域住民がまっとうに暮らすためには最低限の助け合いや支援が必要」「地域づくりは、荒廃する現状と切り離せない問題」といった意見が改めて出され、これまでに活動実績のあるごく一部のケースを除き、受け皿となる地域クラブや専門的指導者が絶対的に不足しているという課題が、改めて浮き彫りとなりました。そして、部活動にとどまらず地域課題がさらに深刻化している状況が明らかです。教員の働き方改革から始まった部活動改革は、「地域移行」「地域連携」「地域展開」など微妙に異なる用語で方向性を示しながらも国や県は充分な人的・財政的措置を講じることなく、学校と地域の自主努力に依存しているのが実情です。
これでは「将来にわたって生徒が継続的にスポーツ・文化芸術活動に親しむ機会を確保・充実する」という部活動改革の主目的が空文化するだけでなく、ますます進む少子化と地域の空洞化という現実問題との乖離がますます深まるばかりです。
山本知事が「全国に先駆けた『群馬モデル』の創出」を唱えることは一向にかまいませんが、今回の総合教育会議で示された前橋市および川場村の資料からも明らかなように、部活動運営への人的・財政的な支援を県・県教委が積極的に進めなければ、部活改革どころか学校と地域の存立が危ぶまれることを、県および県教委はより深く認識すべきです。
・次期学習指導要領の方向性について
次期学習指導要領の策定に向けた中教審の議論が話題となっています。7月4日に開かれた中教審教育課程企画特別部会(第10回)では、評価の観点の一つである「主体的に学習に取り組む態度(以下、主学態)」の目標準拠評価を廃止し、評定には含めず個人内評価とする方針が示されました。現行の学習指導要領では、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主学態」の3観点による評価が求められていますが、「主学態」については、教員の業務負担に見合う学習の改善への効果が乏しいことや評価の客観性担保が困難なことが指摘されたためです。
現行学習指導要領は小学校では2020年度から年次進行で実施されていますが、策定段階から「主学態」(当時は「関心・意欲・態度」)の評価導入には教育現場や研究者から否定的な声が多数寄せられていました。その反対を押し切って導入された「主学態」の評価が、わずか数年で撤回されるという今回の方針転換には、朝令暮改そのものとの印象が拭えません。ただし、「過ちて改めざる、これを過ちという」という言葉の通り、次期学習指導要領の施行を待たず、早期に「主学態」を評価対象から除外することが、現場の混乱を少しでも軽減する最善策だと私たちは考えます。
学校における非認知能力の育成やエージェンシーの発揮を鼓吹する群馬県教育ビジョンには、この「主学態」との関連性が強く打ち出された施策が多数あります。今回の文科省の方針転換が、群馬県の教育行政にどう影響するのか、もしくは影響しないのか、今後注視していきたいと思います。
私たち「ぐんま教育文化フォーラム」では、子どもたちが様々なことを主体的に学び健やかに成長することを願い、地道な教育活動を紹介してきました。だからこそ、目先の評価や成果にとらわれた大人の論理や都合に子どもたちが巻き込まれるような事態には、断固「No」を突きつけたいと考えます。 (以上)
2025.7.30